家の庭にバラが咲き始めると、毎年思いを馳せるのはブルガリアのカザンラク地域にある「バラの谷」です。温暖で湿潤な気候がバラ栽培に向いていて水はけもいいことから、この地域にはバラの畑が一面に広かっています。6月の初めにはバラ祭りが開催され、民族衣装にダマスクローズを重ねて作った花輪と首飾りをかけた女性たちも登場します。
ダマスクローズはオールドローズ系の古い品種。ピンク色をした八重咲の小ぶりな花で5月中旬になるといっせいに咲き始めます。日の出前の朝早い時間からバラのつぼみを一輪ずつ手作業で摘み取ります。香りは時間がたてばたつほど逃げていくので、まだ花が開かない夜明け前から摘み取り、香りのギュッと詰まったフレッシュな花をすぐに蒸留して品質の高いローズオイルを作り出します。
ブルガリア産のダマスクローズは「ブルガリアンローズ」として世界中の調香師から逸品として一目置かれています。このほかにもトルコやモロッコ、イランでも大規模に栽培され、モロッコのダマスクローズはセントフォーリア系の甘い香りが強いなど、産地によってさまざまな特徴があります。
このほか世界中で栽培されているダマスクローズ、見えない香りに魅了されますね。
